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 2018/01/14
 アナログ LP レコードを USB Sound Blaster と Upconv でハイレゾ化 ( Top Page

 CD の音源は 16bit.アナログ音源は(原理的には)24bit 以上.よって,レコードの音は CD の音より(ずっと?)良いはず.このことを調べてみようとなった.しかしながら,その準備を始めたところで,パソコンが不調になり,直すのに2ヵ月もかかってしまった.結局はハードディスク(HDD)とマザーボードを交換する羽目になった.HDD が徐々に壊れていくのは,なんとかできないかと悪あがきする羽目になるので,かえってたちが悪い.レコードのハイレゾ化も,完璧を求めたので,マスターするのに1ヵ月以上かかってしまった.

結果:① レコードに刻まれる音は,ノイズも含めて,高々 25kHz 辺りまでである.
   ② 同じマスターテープから作られた LP レコードリマスター CDハイレゾ音源 の音質の良さを比較してみると,

ハイレゾ音源>LP レコード>リマスター CD

の順であった.

1.レコードプレーヤー関連機器の配線
 遙か昔,結婚したての頃は アナログレコード の時代であった.我が家でも大きなステレオラックの上に PL-1200A が鎮座していた.CD の時代になって,押し入れの奥に仕舞っておいたが,取り出してみると,まだまだ現役の働きぶり.針(カートリッジ)を取り替え,採ってあったレコードを丁寧に洗浄した.これでノイズもかなり減るはず.
 レコードの信号はアナログ配線で取り出しますが,それは非常に微弱(数mV)なので,配線にノイズが紛れ込まないように,アース線が付いています.アナログ配線はアンプのフォノ端子USB Sound Blaster のフォノ端子に取り付けるが,今回は,アナログ音とデジタル音の切り替えがすぐできるように,2分配AVケーブルを用意し,アース線も両者で共有するように繋げた.フェライトコア ノイズフィルター もちゃんと使うようにした.
 これだけ注意したにも係わらず,レコードをかけてみると,思ったよりノイズが酷い.この程度の音なら,ハイレゾ化する価値がないぞと思いつつ,YouTube のレコードも聴いてみたが,音量を大きくすると,やはりノイズが気になった.暫くたって.気温も下がってきて,寒いと感じる頃,レコードプレーヤーの金属部分に触ると,バチッ ときた.静電気が走ったのだ.そのとき,もしやアースが不十分かなと思って,コンセントのアース端子にも線をつなぐと,少し改善したようだ.そのくらい微弱な信号だったようだ.ただ,その後も,良い音を求めて,苦労の連続が続いた.

2.USB Sound Blaster の使い方,レコード音の周波数帯域
 正式名称は Creative USB Sound Blaster Digital Music Premium HD r2 で,1万円未満で手に入る アナログ→デジタル 変換機器です.フォノ端子でレコードプレーヤーに繋ぎ,パソコンとは USB ケーブルで接続して使用.パソコンは(私の場合) HDMI ケーブルでアンプと繋がっています.この機器の謳い文句は 24bit/96kHz、製品実測値においてS/N比114dBという高音質な録音・再生を実現 とのことです.実際に使ってみると,昔からある製品/ソフトに改良を加え,機能はかなり充実しているようだが,購入者のための使いやすさ機能は全く改良されていない.そこで,簡単な解説をしておきます.
 配線がすんだら,2枚入っている CD をインストールします.次に,24bit/96kHz のハイレゾ化ができるように, Creative スマートレコーダー をダウンロードしてインストールする(自分の OS に合わせてネ.「詳細の表示」もクリックして確認する).次に,作業用実行ファイルの用意です.パソコンの (多分 C):\Program Files (x86)\Creative フォルダ(記号\=¥)を探します.サブフォルダ\Creative\Smart Recorder の ショートカット「スマート レコーダー」のコピーを作り,デスクトップに貼り付けます.同様に,\Creative\MediaToolbox6\Toolbox のショートカット「Creative メディア ツールボックス 6」もデスクトップにコピペする.これで録音準備OK.
   録音したいレコードをプレーヤーのターンテーブルに載せます.スマート レコーダー を稼働し,逐次録音を開きます.ソース:(必要ならクリックして)Phono-In (USB Sound Blaster HD) を選びます.以下,レベル:最大(100%)にして,解析 にチェックを入れ,フォーマット:(クリックして録音フォーマットを開き)Wave 96.000 kHz 24 ビット ステレオを選び,ヒスノイズとクリック音を除去する にチェックを入れます.ここで,レコードを回転させて針を載せ,音が聞こえるのを確認します.ここでハイレゾ音かどうかの確認をしておきましょう:

パソコンからハイレゾ音を出力しているつもりで,実は FMラジオレベルの音質だったでは困ります.確認しておきましょう.(以下,OS は Windows 用の解説です<(_ _)>).タスクバーの音声ボタンを右クリック→再生デバイス(P) または コントロールパネル(P) の サウンド をクリックする.ハイレゾ音源を奏でると出力しているデバイスからスピーカーアイコンが表示され,ピコピコ変化します.(私の場合は AMD HDMI Output).そのデバイスを右クリック→プロパティ(P)→詳細.規定の形式 の 共有モードで使用されるサンプルレートとビットの深さを選択します。で 24ビット、96000 Hz(スタジオの音質) またはそれ以上の音質を選ぶ.テスト(T) をクリックして実際に音が出ていることを確認する.ただし,スピーカーからハイレゾ音が実際に出ているかどうかは(アンプの情報表示ボタン等を用いて)各自で確認してください.もし,16ビット、44100 Hz(CD の音質)と比較して音が変わらなければ,あなたの音響システムはハイレゾに対応していない可能性があります.
 確認ができたら,いよいよ録音です.このとき,ヒスノイズとクリック音を除去する のチェックを外します.というのは,3つの・・・レベル を全て0%にしても,超高音域でノイズが混入するからです.チェックを外すと,録音している音をパソコンから聞くことはできませんが,それは我慢しましょう.REC ボタンをクリックして,録音開始です.録音場所を覚えておく/(録音開始の前に)参照ボタンで指定する かします.終わったら,右隣の停止 ボタンで終了です.
 録音ができたら,作られた WAV ファイルを整備しておきましょう.Creative メディア ツールボックス 6 をクリックし,エンハンス の 音楽の分割 を開きます.録音場所のフォルダを聞いてくるので,(面倒くさいが)順次クリックして,録音された WAV ファイル(初期名は Phono-In (USB Sound Blaster HD)_10-01-2018_13-23-32.wav のようなファイル名です)を指定します.次へ(N) ボタンをクリックすると,分割箇所が表示されます.慣れないうちは,感度の変更 を最小にして/(または)赤いマークをダブルクリック→削除ボタンをクリックして,自動分割をさせない方が良いでしょう.自分で分割するときは,削除ボタンの右にある 音量表示ボタン をクリックして音量を聞きまた目で見ながら分割するのが分かりやすい.左側の再生(一時停止)ボタン をクリックすれば演奏の様子が目と耳で分かります.緑の帯上の点をクリックすれば/(または)青い点をドラッグすれば,望みの演奏時間に飛びます.音量を見ながら再生し,ここぞという所で マーカーの挿入ボタンで分割します.失敗したときは,再生を止め,分割した赤マーカーを(ダブル)クリック→削除で分割解消.(緑帯上にある青点を囲む長方形の利用法はまだ分かっていません).針をおいて演奏を始めたときのプッという音の直後で分割し,また演奏の終了を知らせる プッ・ブッ という音が出る直前で必ず分割してください.(EcoDecoTooL を使う際に失敗することがありますが,この終了音が音量設定の邪魔をするためのようです).分割が終わったら,EcoDecoTooL を用いて,指定した音量(89.0 dB)で,初期ファイル名を「LP_(録音したレコード名)_(96kHz,24bit).wav」に変更してください.
 LP レコード音の周波数帯域それでは,この LP_(レコード名)_(96kHz,24bit).wav を WaveSpectra で奏で,音のスペクトル表示 を見てみましょう(WaveSpectra については,CD のハイレゾ化は可聴域のノイズ除去を忘れずに!で学んでおいてください).あなたの見ている WaveSpectra のスペクトル表示は右の図と本質的に同じなはずです(左下にある Peak を(長めに)クリックして,赤い線=Peakホールド を表示してください).右の レコード音の周波数帯域 図をクリックして拡大すると明確に分かることは,25kHz を過ぎると音量が -160dB まで急激に減少し,事実上 音(ノイズを含む)が無くなることです(Peakの赤線は,右図の場合,演奏時間 12分37秒までの最大音量を表します).つまり,レコード盤に刻むことが可能な音は高々 25kHz 辺り迄であることを示しています.右図では,35kHz を超えると極々低音量の Peak が見られますが,これはレコード音を取り込む際の(取り除けなかった)電波によるノイズです.したがって,レコードの音は,サンプリング周波数 96kHz でハイレゾ化しても無駄であり,(24kHz までの音が出せる)サンプリング周波数 48kHz でハイレゾ化すれば十分です(尤も,(私を含めた)普通の聴力の人に対しては CD 用の 44.1kHz で十分です).これらのことを自分で確認したい人は,ノイズが混入しないように最大限注意して,試みてください.次の話は,可聴域音声ノイズを除こうとして,超々高音域ノイズが発生する例になっています.

 あなたがハイレゾ化した LP_(録音したレコード名)_(96kHz,24bit).wav は,音量を大きめにして再生したとき,ノイズが気になりませんでしたか.ノイズ除去の練習をしておきましょう.音楽を聴くときは音量を揃えておくのが便利です.まず EcoDecoTooL で音量を 89.0dB に設定しましょう.それから,Creative メディア ツールボックス 6 →エンハンス→音楽のクリーンアップ→音楽ファイルの選択→ヒスノイズ除去の%,クリック音除去の% 指定→次へ→ファイルの場所をクリック→ファイル名を LP_(録音したレコード名)_(96kHz,24bit)_(ヒスノイズ除去・・・%,クリック除去・・・%).wav に変更(または,簡単に,LP_(除去・・・%,・・・%).wav )→ファイルの場所を移す.これらを暫くは練習しておいてください.LP_(除去・・・%,・・・%).wav を WaveSpectra で再生してみましょう.各自に任せますが,25kHz を超えてずっと 48kHz に至るまで,奇妙なノイズが発生しているのに気がつかれるでしょう.こんな音は決して人には聞こえませんが,機械は検知できるのです(多分 Sound Blaster のソフト作成ミスです).以上のことから,今後,ノイズ除去に関しては,サンプリング周波数 48kHz のファイルで議論しましょう.

カラヤン・ベートーヴェン全集

3.レコードと CD,ハイレゾ音源 の音質比較
 私の持っている(少量の)レコードは1970~80年代の古いもので,したがって質も良いとはいえないでしょう.ちゃんと洗って使っているが,やはりノイズが気になる.その中に(今となってはプレミアがつくと思われる)1960 年代のカラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニック・オーケストラの ベートーヴェンの第1~第9交響曲のLP9枚全集があった(→右図).その中で,特にCD のハイレゾ化は可聴域のノイズ除去を忘れずに!でも議論した 第9番「合唱」は評判が高く,同じマスターテープから,私の持つ LP 版リマスター CD,それに ハイレゾ音源が作られている.そこで,LP レコードからハイレゾ・ファイルを作り,これら三者の音質比較をしてみようというのは自然な発想である.その LP レコードから Sound Blaster でサンプリング周波数48kHz,量子化ビット数24bit の WAV ファイルを作り,ヒスノイズやクリックノイズの除去無しのものを LP Symphony No.9_(48kHz,24bit)_(ノイズ除去 0%, 0%).wav とした(先に議論した理由により 96kHz のものは必要ない.また 16bit(=CD音質)と24bit の区別も人間はやっとの事でなので,さらに上の 32bit は全く無駄である).まあまあの音が出たが,少しこもった感じがして,ヒスノイズ除去は欠かせない(クリックノイズはこの時点では出ていない).Creative メディア ツールボックス 6 でヒスノイズ除去を試みたが大して改善せず,70%以上では音質が変わった.
 レコードもマスターテープ(=アナログ磁気テープ)を元にしているから,テープが擦れてできるヒスノイズを含む.したがって,CD の場合に役に立った Upconv のノイズ除去法 が役に立つはず.そこで行った設定 HFC(Auto)_DL(0)_NR(100Hz,L2)_LPf( kHz) 等に手を加えて,適用してみよう.人工的な倍音でレコード音質を変えてはいけないので,HFC は 24kHz に固定する.サンプリング周波数以上では音を作る必要は無いので,HFA は Overtone Ex(hfa3) から 作業時間が大幅に短縮する Cutoff(hfa0) に変更しよう(サンプリング周波数96kHz とした場合,Cutoff(hfa0) でやると,HFC 以上の周波数で音量は(混入するノイズを除いて)0に消え失せます).他の設定は先ずはそのままで,出力を (48kHz,24bit) として,Upconv 設定は Cutoff(hfa0)_HFC(24kHz)_DL(0)_NR(100Hz,L2)_LPf( kHz) とした.
 結果はというと,ヒスノイズは軽減されたが,プチッ・プチッというクリックノイズが曲の一部分で発生した(あなたのレコードでも,程度の差こそあれ,同じ現象が起こります).暫く―かなりの期間―どうしたものかと思案に暮れていたが,WaveSpectra の音量スペクトル図をじっと凝視していると,16kHz 以上にある弱音の平均値が,クリックノイズの発生と同時に激しく振動することに気がついた.振動の原因は周期が非常に短い うなり と思われ,レコードには Upconv が想定していないノイズが含まれているようだ.こんなノイズは Creative メディア ツールボックス 6 で取り除けるだろう.実際,やってみると,ヒスノイズ除去では 16kHz 以上にある弱音全体の音量を弱めて聞こえなくするが,そこに含まれている実音(=音声/楽器音)も弱めるようだ.クリック音除去ではその弱音の平均値振動の周期を遅くして取り除いている.結論として,このレコードで音量を上げても満足な音にするにはクリック音除去 95% 以上が必要であった..結果のファイルを LP 交響曲 第9番 合唱_(48kHz,24bit)_(ノイズ除去 0%, 95%).wav としよう.レコードから Sound Blaster で取り込んだばかりの音と比較したが,以上の操作で実音が消されることは無く,むしろノイズに隠れていた弱い実音が耳に入ってくるのを確かめた.

 レコードからのファイル LP 交響曲 第9番 合唱_(48kHz,24bit)_(ノイズ除去 0%, 95%).wav は Upconv でノイズを取り除いているから,CD や ハイレゾ音源も同じノイズ除去をしたものと比べるのが公平であろう.CD の処理もその音質を変えないように,出力は (48kHz,16bit),Upconv 設定は Cutoff(hfa0)_HFC(22.05kHz)_DL(0)_NR(100Hz,L2)_LPf( kHz) として,出来上がったファイルを CD 交響曲 第9番 合唱_(48kHz,16bit).wav とした.ハイレゾ音源は購入時点で (96kHz,24bit) であったが,(48kHz,24bit) にして聞いても全く違いを感じないので,設定を Cutoff(hfa0)_HFC(24kHz)_DL(0)_NR(100Hz,L2)_LPf( kHz) として,できたファイルを Hi-Res 交響曲 第9番 合唱_(48kHz,24bit).wav とした.
 聞き比べるために,EcoDecoTooL で3つのファイルの音量を前もって統一しておくのは重要です.私は芸術のことは分からないので,それには立ち入りません.
 3種類の“合唱”を何度も々々聴き比べて感じたのは,CD(16bit) の音は僅かに硬く,レコード(24bit)のものは硬さが少しとれて低音に迫力がある,Hi-Res は音のバランスが良く高音もよく伸びている,ということだった.軍配は(私の感じ方だが)Hi-Res に上がるかな.
 レコードの音が好まれるのは,それが全音域で 24bit だからという見当で今回の考査を始めたわけだが,16bit の CD と比べてみるとやはりそうかと思われる.そこで,レコードのファイルを 16bit化して CD と比較してみた.(※ LP 交響曲 第9番 合唱_(48kHz,24bit)_(ノイズ除去 0%, 95%).wav を EcoDecoTooL で直接 16bit にするのは失敗した.そこで,24bit (ノイズ除去 0%, 0%) のものを 16bit にしてから LP 交響曲 第9番 合唱_(48kHz,16bit)_(ノイズ除去 0%, 95%).wav を作った).CD と 16bit化した LP レコードの両者を聞き比べてみると,非常によく似た音質である.そして,CD より 24bit のレコードの方が音質が良い.したがって,やはり,レコードの音の良さは 24bit のためだと(私は)納得した.この点については,あなた自身で検証してみるのが一番良いでしょう.その検証の価値は十分にある.